※浜田化学が月に1度ゲスト出演する環境番組『正木明の地球にいいこと』(ラジオ関西)2023年1月16日放送回
今回は浜田化学営業部長の桑村安浩がゲスト出演し、「廃食油回収現場のリアル」についてお届けしました。
目次
普通の企業であれば、自社の商品やサービスを売り込むことが営業のイメージですが、私たち廃油回収の営業は実際どうしているのでしょうか?
使用済み廃食油は、そのまま捨てると環境汚染の原因になるだけでなく、事業系から排出される廃食油は産業廃棄物として法律に則った処理をしなければいけません。そこで、事業系の多くは私たちのような回収業者に廃食油の処理を任せていただくことがほとんどなのですが、まず大前提として“安全に廃食用油を回収するサービス”である事をお伝えしています。
さらに、回収した廃食油はリサイクルによって新たな資源として生まれ変わるため、SDGsという観点でも、廃食油回収は業界と消費者双方にとってメリットのある取り組みです。
しかし、一方でなかなか社会で理解されづらい側面も。
「廃食油が新たな資源に生まれ変わる」この部分を、一部の企業からは『廃食用油を資源にするための原材料とするならば、“回収”ではなく“仕入れ”ではないのか?』という声があります。さらに、『資源として商品にするのであれば、廃食用油の回収先には“原材料購入”という形で支払いをするべきなのでは?』と言われたり、回収費の値引き交渉をされたりすることもあるのがリアルな営業現場。
しかし、皆様にぜひ知っていただきたいのが、廃食油をより安全に回収することには多大なコストがかかるということ。桑村部長にどのようなところで最もコストがかかっているのか聞いてみました。
「回収した大量の廃食用油を安全に運輸送するためにはドライバーの負担軽減が課題ですので、必ず残業数調整を行います。すると、ドライバー1人あたりの稼働可能な時間が限られるため増員が必要となる。ドライバーが増えれば回収車台数も増やさなければならない。また引火物である油を扱っているため、回収車には事故防止用のドライブレコーダーや接触防止センサー、バックモニターなど設備の強化も必然になります。」
廃棄物回収といえ、万が一お客様のところでこぼしてしまうと転倒などの事故に繋がるリスクとなってしまったり、一店舗一店舗細い路地もビルの高層階もさまざまな場所に回収に伺う現場では、常に大きな負担やリスクが伴います。
ほかにも現場での苦悩を聞いてみると…
「コロナの影響で少なくなったとはいえ、毎月1300〜1400トンの廃食用油を回収しています。そのなかには使い過ぎてまっ黒になった油、水が混ざり酸化し腐った油もあります。いちばんゾッとしたのは、灰皿代わりにタバコの吸い殻が入っていたことです。廃油とはいえ、火災に繋がる可能性もあり非常に残念でした」
など、”廃食油=ごみ”という認識がやはりまだ強いこともあり、雑に扱われる場面も多く見受けられます。
油の回収作業は大きく分けて2段階。「店舗や施設から回収車まで運ぶ」そして「回収車で安全に移動しリサイクル工場まで運ぶ」こと。
当たり前かもしれませんが、安心安全な回収のためには、体力もコストもとてもかかっており、夏の暑い日や冬の寒い日にも毎日手作業で早朝から回収に携わってくれる社員のすがたがあります。
廃食油の回収業務に関わらず言えることですが、注目を浴びることは少なくとも、決して楽とはいえない仕事を担ってくれている人たちに、しっかりと還元される社会を目指したいと思います。
■ラジトピ(ラジオ関西)記事はこちら https://jocr.jp/raditopi/2023/02/11/482181/